ある日、爆弾がおちてきて

ある日、爆弾がおちてきて」を読んでます。一言で感想を述べるなら、これは私のラノベに対するイメージそのものです。まさにラノベの王道。完成度の高さに感動です。

ラノベ以上を目指そうとしていない、ゆるゆるの世界観

まず私の中のラノベの定義ですが、ラノベは気軽に読める、ゆるい小説だと考えています。ラノベはさまざまなストーリーや世界設定、キャラクターを極端にデフォルメし、いいとこ取りしたものです。逆をいえば、本格的なストーリー、世界設定、キャラクターはラノベでやるべきではありません。重く書かないからこそ、気軽に読めるライトノベルとして成立するわけです。そしていくら重いテーマを取り入れようとしても、ラノベではうまくいきません。

例えばいくらラノベで「純愛」をやろうとしても、言い意味でも悪い意味でも、すごく薄っぺらなものになります。この薄っぺらさがラノベです。だからこそラノベはゆるゆるな世界であるべきです。今回の作品は、空から女の子が落ちてくるという定番のストーリー展開、少女が爆弾であるというギャグのようなキャラクター設定、素敵な女の子との出会い、まさにゆるゆるの世界を描いています。これはラノベの王道ともいえます。

王道のなかでのオリジナリティ

この作品はラノベの王道だと述べましたが、他のラノベに比べて特出しているのは、作者の文章力です。正直いうと私はラノベのいい加減な文体だとか、擬音が好きになれません。それは純粋に多くのラノベ作者の文章力が低いからです。こんなレベルのものが出版されているのは正直あきれてます。さて今回の作品を見てみると、ラノベとしては擬音の使用頻度がかなり低いです。しかし定型文にとらわれない自由な台詞のいいまわしなんかを見てみると、これはまさにラノベです。そして何より読みやすい。作者の文章力がこの作品のオリジナリティだなんて言うのは説得力が薄い気もしますが、それくらい多くのラノベ作者の文章力は重症です。物書くってレベルじゃねーぞ。そのなかでこの作者は特出しているように感じました。

ストーリーの収束

もちろん物語の最後もラノベらしくあっさりと終わります。ここに重いテーマは一切ありませんし、深く考えさせられることもありません。だけどそれが素晴らしい。世界設定、キャラ設定、ストーリー展開をごちゃごちゃさせてしまうような作品は読み終わった後に、より正しく理解しようとする、謎解きが発生します。ここには明確な答えはほとんど用意されていませんが、それでもネットでさまざまな考察が飛び交い、話題になったりしますよね。確かにみんなで一緒に考察するのは楽しいかもしれない。でも私は深く考えずに読める本当の意味でライトな小説を求めています。

最後に

今回この作品を読もうと思ったのは、ここ(http://d.hatena.ne.jp/hobo_king/20080516/1210945316)の影響です。初心者向きのラノベが何本か紹介されています。今回のような素晴らしい作品を紹介していただいて本当に感謝しています。本作を是非読んでみてくださいね。

ある日、爆弾がおちてきて (電撃文庫)

ある日、爆弾がおちてきて (電撃文庫)